【わたしの仕事と日常 #05】顧客のニーズを起点とした新規事業開発を推進(仕事編)

【わたしの仕事と日常 #05】顧客のニーズを起点とした新規事業開発を推進(仕事編)

目次

    日揮ホールディングス(以下、日揮HD)では、サステナビリティ関連の新事業の創出を担うため、2019年10月にサステナビリティ協創部(現サステナビリティ協創オフィス)を新設しました。今回の記事では、顧客のニーズを起点とした新規事業の開発に取り組んでいるシェアドバリューユニットのグループリーダーに、事業や業務の内容、やりがいを感じる瞬間などについて話を聞きました。(インタビュアー:サステナビリティハブ編集部)

    顧客のニーズを起点とした新規事業開発

    ――新井さんが率いるシェアドバリューユニット第1グループはどのような事業の開発に取り組んでいるのでしょうか。

    シェアドバリューユニット(以下、SVU)は、「Creating Shared Valueの実現」をミッションに掲げ、「企業の経済活動を通して社会課題を解決し、SDGsを達成する」というゴールに向けて、新規事業開発に取り組んでいます。特に重視しているのは、顧客のニーズ起点で事業開発をおこなうこと、データ活用による新しい価値を提供することです。第1グループでは、国内製造業のスコープ1・スコープ2の削減をメインターゲットとして、各プログラムマネージャーがバイオメタンやEV蓄電池、省エネ、EMS、熱供給といった事業開発を展開しています。私はグループマネージャーとして、彼らが事業化プロセスのそれぞれのステージで直面する様々な課題を突破するために必要なサポートを提供しています。

    ――新規事業開発では、日揮グループのどのような既存技術や知見が生かされていますか。

    これまでオイル&ガス分野のEPC事業で培ってきた技術の目利き力、様々なビジネス領域をカバーする人材、自社製品に限定せず世界中の技術やビジネスモデルの中からベストなソリューションを見極める力が日揮グループの強みです。これらに、デジタル分野の技術や人材を掛け合わせて、関係企業・団体をまとめあげ、ゼロから事業創出をリードしています。

    ――新井さんは複数の新規事業開発に携わったのち、SVUに異動してきたそうですね。これまでの経験をいかして、新規事業開発をおこなうメンバーを育成・支援していくことも新井さんに期待されていることの一つかと思いますが、どのような点を意識しながら取り組まれていますか。

    自身のこれまでの経験やノウハウの伝承、メンバーの実力底上げは、異動してきた当初から意識してきた点です。社内には新規事業開発の専門チームがないため、組織として蓄積された経験やノウハウもありません。そこで私個人の経験やノウハウを勉強会やOn Jobの場において積極的に伝えることで、活きた情報として伝承することを心がけています。
    ロシアでの温室野菜事業会社の経営、ガスタービン火力発電所のオーナーズエンジニアリングと発電所長としての業務経験、豪州の水事業会社のM&A、植物工場のベンチャー企業への出資と社外取締役など全ての経験が現職で役に立っています。

    新規事業開発の面白さ・大変さとは?

    ――日揮グループの主力事業であるEPCと新規事業開発の業務を比べた際に、最も違うと感じる部分はどこでしょうか。

    新規事業開発において投資を決める段階までに必要な業務は、実はEPCとかなり似ていますが、その後が大きく違います。EPCは建設した設備をお客様に引き渡して終わりですが、新規事業開発は事業会社をつくってからが本当のスタートです。

    ――EPCとの共通点も多いのですね。新規事業開発ならではの面白さや、やりがいを感じるのはどんなところですか?

    事業運営をしていて純粋に面白いと感じるのは、その事業が世の中に認められて、会社が健全に回り出して収益という形で表れて、会社の成長を実感するときですね。
    「つくって終わりではなく、成長させるところまでがセット」という意味で、会社経営を子育てに例える人もいますが、事業開発は子育てと似ているかもしれません。

    ――新規事業開発に取り組む中で、大変だなと思う時はどんな時でしょうか?

    前向きな性格なので、特に大変だなと感じることはありません。新規事業開発は基本的に上手くいかないことの連続ですから、その状況すらも楽しむことが大事だと思っています。

    私が最初に関わった新規事業開発案件の発電事業は、イラク戦争(2003年)の勃発がきっかけで撤退に追い込まれました。原油価格の高騰により採算が取れなくなってしまったからです。次に手掛けた植物工場への出資の時には、東日本大震災がきっかけで震災復興の予算が付き、世に出すことができました。今も経営に関わっているロシアの温室野菜事業は、5か年計画を立ててビジネスを成長させていこうとしていたタイミングでウクライナ戦争が起こり、事業の拡大は取りやめになりました。

    もちろん世界の動向を把握し可能な限り備える必要はありますが、このように新規事業の開発は自分ではどうにもできない世の中の動向によって、上手くいったりいかなくなったりすることもあるものです。不確定要素がある中で進めていかないといけないものですから、 壁にぶち当たっても、”新規事業開発によくある出来事”として楽しみながら、その場その場を一生懸命やっていけばよいと思っています。

    ――課題に直面した時にも前向きな気持ちで楽しみながら進めていく姿勢が大事ということですね。他に、新規事業開発をするにあたって持っていた方が良いマインドはありますか?

    私自身はたまたまこのアプローチで楽しんで出来ていますが、必ずしも前向きである必要はないと思っています。何か問題に直面した時に、前に進むことを選択する人だけでなく、立ち止まることを選択する人もいる方がチームとしてバランスはとりやすいですから。

    それよりも重要なのは、「大きな夢と熱いハートとクールな頭脳」だと思っています。収益を上げることはもちろんですが、 社会課題を解決したいというような夢があったほうが、周囲を巻き込みやすくなります。また、嫌なことがあってもやり切る気持ちの強さも必要です。そして、最終的に利益を生むビジネスにするためには、やはり冷静に判断できる頭の良さも欠かせません。とはいえ、そこまで身構える必要はなく、基本的に誰でも新規事業開発はできると思いますよ。

    まとめ

    今回の記事では、新規事業開発に取り組むシェアドバリューユニットのグループリーダーに、事業や業務の内容、仕事の面白さ、新規事業開発をおこなう上で必要なマインドについて話を聞きました。インタビュー後半では、学生時代に夢中になっていたことの話や入社の経緯、プライベートの過ごし方などについてお話しいただきました。是非ご覧ください。

    サステナビリティ ハブ編集部

    サステナビリティ ハブ編集部

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