【わたしの仕事と日常 #06】CO2を原料にした「バイオものづくり」(日常編)
目次
日揮ホールディングス(以下、日揮HD)では、サステナビリティ関連の新事業の創出を担うため、2019年10月にサステナビリティ協創部(現サステナビリティ協創オフィス)を新設し、現在様々なサステナブル分野の取り組みを行っています。今回の記事では、今世界的にも注目が集まっている「バイオものづくり」プロジェクトを推進している3人のメンバーのプライベートにフォーカスを当て、学生時代の専攻や、日揮HDの印象、休日の過ごし方、これからの目標などについて座談会形式で話を聞きました。(インタビュアー:日揮HDサステナビリティ協創オフィス 森田光雄)
バイオものづくり事業や業務の内容、中途入社した経緯、やりがいを感じる瞬間などについて聞いたインタビュー前半は、こちらの記事をご覧ください。
大学時代の専攻は?
――大渕さんと三木さんは、前職でもバイオ関連のお仕事をされてきたということでしたが、バイオの道に進んだきっかけは何でしたか?
(大渕)明確なきっかけは覚えていませんが、小さいころから大の昆虫好きだったことも影響しているかもしれません。大学進学の頃にちょうど、お酒の会社が「発酵」の面から薬の研究をしたりしていて、そこから興味を持ち、農学部でバイオをやろうと決めていました。
――20年前と比べると、今はバイオへの注目度が格段に上がっていますよね。長年バイオに携わってきて、やはりバイオ分野は面白いと感じますか?
(大渕)バイオは面白いですよ。大学では、木質バイオマスを溶かす「セルラーゼ」という酵素の研究をしていました。ちょうどその頃、中東での戦争勃発によって油価が上がっていたので、「セルロース(木材)を糖にして微生物に食べさせてエタノールをつくる」という研究が流行っていたんです。ですが、その後、シェールガスが出てきたら、パタッと下火になった。こうやってバイオの研究は、世界の動向に振り回されてきたわけです。
そんな中、今回は「脱炭素」という人類の課題に向けて、バイオ技術を実用化しようという世界的な潮流があり、さらに国の政策とも合致している。私にとっては、「ようやくバイオの時代が来たか!」と嬉しく思っています。
――たしかに、今はバイオの時代と言ってもいいほど盛り上がっていますよね。三木さんはどうしてバイオの道を選んだのですか?
(三木)高校生の頃にちょうど、iPS細胞やES細胞の存在を知って、あらゆる細胞に分化できる細胞なんて、夢のある話だなと関心を持ちました。それがきっかけで生命科学に関することをしたいと思い、大学は農学部を選びました。入ってみたら、iPS細胞を研究しているのは農学部ではなく医学部だった、というオチでしたが(笑)。
大学では微生物ではなく、植物の細胞壁の成分の構造決定の研究をしていましたので、実は微生物を触りだしたのは社会人になってからなんです。ですが、やってみたら面白く、前職では「微生物を用いたプロセス開発」をテーマに6年くらい研究開発をしていました。
―――この先もずっとバイオをやっていこうと思っていますか?
(三木)そうですね、多分そうなると思います。生き物を使って色々なものをつくれるというコンセプト自体に夢がありますからね。
――万が一にもないと思いますが、もし「明日からバイオとは全く関係のない事業を担当してね」って言われたらどうしますか?
(三木)うーん、迷いますね。でも、やると思います。というのも、今のバイオものづくりのプロジェクトでも、これまでずっと化学プロセスをやってきた方々が、バイオプロセスの開発をしていたりするんです。そうした方々から化学工学の知識を吸収できるのも、すごく楽しいですし。なので、たとえバイオから離れて別のテーマに携わっても、そこで得た知識は、またバイオに戻ってきた時に活かせると思うんです。
――たしかに日揮グループには色々なバックグラウンドの人が揃っていますからね。私はずっとプロセス開発に従事してきましたが、「電気が専門だけど面白いからプロセス開発をやっている」という人もいますしね。このあたりは、この会社の面白いところかもしれませんね。小石川さんは、大学時代はどんなことをされていたんですか?
(小石川)大学では、化学工学をベースに環境問題の課題解決を目的とした研究を専攻していました。当時は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)という燃料電池の一種の実用化に向けた研究テーマに従事していて、その頃から「地球環境との共生」は人類にとって最も重要な取り組みの一つであると認識していました。そのため、大学卒業後は様々な分野でのインフラ整備や基盤構築に携わってきました。今は、次世代産業として大きく期待されるバイオの技術開発を、とても魅力的に感じています。
転職の前と後での日揮グループの印象の変化
――日揮HDに入社してみて、外から見ていた時のイメージとのギャップはありましたか?
(大渕)あんなに大きいプラントをつくるのだから、物事をシステマチックに進めていく会社だろうなという印象を持っていましたが、想像通りでしたね。最初はラフなコンセプトでも、そこにしっかりと肉付けして具体化し、最終的にこれを計画的に遂行する専門部のプロジェクト部隊やプロセス部隊の遂行能力の高さは、さすがトップを走るエンジニアリング会社だなと思います。
前職のメーカーでの研究は、研究部門とエンジニアリング部門が一体となって一緒に試行錯誤しながら進めていましたが、日揮グループはきっちりと分業されているので、不確実性が高いことについて、研究部門とエンジニアリング部門の両者の立場を鑑みながら連携して進めていくのが難しいと感じることはありますね。
――チーム内のコミュニケーションに関してはいかがですか?
(大渕)チーム内のコミュニケーションは取りやすいですね。開発をおこなっている大洗の研究所*とは物理的な距離があるので、最近は週の半分は大洗に行くようにしています。社内だけでなく社外パートナーとのコミュニケーションも非常に良好なので、社外との共同研究とは思えないくらい密な雰囲気で開発を進められているのが意外でしたし、仕事をしていても面白いところです。
* 茨城県大洗町にある日揮技術研究所のこと
――なるほど。小石川さんは、ずっとエンジニアリングをやってこられたわけですが、違いを感じますか?
(小石川)日本を代表するエンジニアリング会社ということで、縦割りで階層型の組織かなと想像していたのですが、いざ入社してみると非常に風通しが良く、良い意味で裏切られました。担当業務の垣根を超えた提案でも受け入れてもらえる空気感があるので、幅広い内容の業務に関わることができるという印象です。入社してよかったなと思いましたね。
――たしかに、風通しが良いということは、他社の方からよく言われますね。三木さんはいかがですか?
(三木)私も小石川さんと同じで、「風通しの良さ」をすごく感じます。驚いたのは採用面接にCTOが同席していたり、オフィスでもCTOや執行役員が同じフロアでフリーアドレスで座っていたりと、役職者との関係性が本当にフラットなことです。会社のトップクラスの立場の人が、普通に僕らのような社員と議論して意見を言い合うというところが、面白いなと。こういう会社の風土が、想像以上に良かったなと感じるところですね。
――役員がすぐそこで仕事をしているという環境はなかなか珍しいのかもしれないですね。フリーアドレスなので、普通に役員の隣りに座っちゃいますしね(笑)
プライベートの過ごし方
――バイオものづくりチームは今とても忙しい時期だと思いますが、週末はどんな風に気分転換をしていますか?
(大渕)中学生と小学生の子どもがいるので彼らとゲームをしたり、旅行が好きなので家族で色々なところに出かけたりすることが多いですね。冬は一緒にスキーを楽しんでいます。
あとは、日々の健康維持のため、ジョギングを続けています。コロナ前までは、年1回程度、フルマラソンも走っていました。前職や現職のみなさんと行く年数回のゴルフを楽しみの1つです。
(小石川)家にいるときは本を読んだり、遠出した時はお城巡りをしたりすることが多いですね。
(三木)趣味は、読書、アニメ、ゲームなど、基本はインドア系です。特に仕事が大変な時の息抜きは、ひとりでギターを弾きまくったり、奥さんと話しながらお酒を飲んだりしています。
今後の展望は?
――最後に、バイオものづくり事業を進めていくうえでの目標や意気込みを教えてください。
(大渕)現在は、バイオものづくりの技術開発フェーズで、2つの国プロに取り組んでいますが、目指すところは技術開発を軸とするプラットフォームビジネスです。バイオものづくりを志向する様々な「ものづくり企業」に バイオものづくり技術を提案し、商用化まで伴走することで、この技術が広く普及することを目指しています。身の回りの多くのものがバイオ製品になり、当たり前のように使っているような世の中になればと思います。
(三木)「バイオものづくり」はまだ普及途上のものなので、おそらく、これだけの巨額をかけて、バイオものづくりに取り組んでいる国内企業は、他にありません。だからこそ、社会実装を実現することができれば、我々が国内のバイオものづくりの第一人者になれるということで、ずっとバイオをやってきた人間としては、夢のような話です。今携わっている2つのプロジェクトを通して、バイオものづくりが普及している社会を実現させていきたいと思っています。
(小石川)今、研究という分野に初めて足を踏み入れてみて、「なんで今まで開発に携わってこなかったんだろう?」と思ってしまうくらい仕事が面白く、充実しています。チーム全体の目標の達成に向けてプロジェクトを進めていくのはもちろん、バイオのエキスパートである大渕さんや三木さんの開発の視座に少しでも近づけるように個人的にも、成長していけたらなと思っています。
まとめ
今回の記事では、「バイオものづくり」の新規事業開発に携わる3人のメンバーに、学生時代の専攻や、日揮HD入社後の印象の変化、プライベートの過ごし方、これからの目標などについて話していただきました。
バイオものづくり事業や業務の内容、中途入社した経緯、やりがいを感じる瞬間などについて聞いたインタビュー前半はこちらをご覧ください。
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